今回は『羅生門/芥川龍之介』のあらすじと要約です。
高校の教科書にも載っている作品なので、一度は読んだことのある方が多いかもしれません。
この「羅生門」という作品は、芥川龍之介が東大英文科に在籍していた頃に発表した作品で、
その後「鼻」という作品が夏目漱石に認められ、漱石の門下に入っています。
芥川龍之介には、羅生門や鼻のほかにも「蜘蛛の糸」や「地獄変」などの有名作があります。
日本の短編小説家の中では、最も優れた作家だと言われていますね。
今回は『羅生門/芥川龍之介【あらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説】』として、芥川龍之介の超有名作をまとめていきます!
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羅生門/芥川龍之介【あらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説】
「羅生門/芥川龍之介ーあらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説」まとめ
・ 京都の町が大不況だった頃の話
・ 勤め先をクビになった”男”は羅生門で盗人になるか悩んでいた
・ そんな男は、死人の髪の毛を抜く老婆を目撃する
・ 男はその光景に激しい憎しみを感じ、老婆を追求する
・ 老婆によると、その死体は生前に悪行を働いていたし、自分が生きるためには仕方がないと言い訳をする
・ 老婆の言い訳を聞いているうちに、男の「悪への憎悪」は「盗人になる勇気」に変わっていく
・ 男は老婆の着物をはぎとり、夜の闇へと消えていった
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『羅生門/芥川龍之介』の簡単・分かりやすい要約
『羅生門/芥川龍之介』の主な登場人物は2人です。
羅生門で雨宿りをする「男」と、死体をむさぼる「老婆」です。
ここからは『羅生門/芥川龍之介の簡単・分かりやすい要約』として概要だけ説明していきます。
京都の町が大不況になった影響で「ある一人の男」は職を失い、羅生門で途方に暮れています。
男は生き残るためには「盗人」になるほかないと考えますが、なかなかその勇気が持てません。
男が悩んでいるうちに日は暮れてしまい、その晩は羅生門で野宿することにします。
羅生門の梯子を男がのぼっていくと、ある異様な光景を目にします。
それはやせた猿のような老婆が死人の髪の毛を抜き取っている光景でした。
男はその老婆をみて”激しい憎悪”の感情を抱きます。
同時に「あらゆる悪と罪に対する憎悪」も芽生えていき、男は刀に手をかけ老婆に近寄ります。
老婆は男に気づき急いで逃げようとしますが、男に捕まってしまいます。
老婆は男に言い訳をします。
「この女は生きているときに悪行を働いた。だから、髪の毛を抜くくらいされてもいい人間だ。そうしなければ私は飢え死にしてしまう。」
その言葉を聞いて男にある”勇気”が生まれてきます。
その”勇気”とは、先ほどの「悪への憎悪」とは正反対の感情…「盗人になる」という「悪を肯定」する感情でした。
男は老婆の着衣をはぎとり、暗黒の夜に姿をくらましました。
その後の男の行方は誰も知りません。
以上が簡単な『羅生門/芥川龍之介』の要約です。
もう少し章をわけて説明した方がわかりやすいと思うので、以下に『羅生門/芥川龍之介』のあらすじも載せておきます。
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『羅生門/芥川龍之介』のあらすじ・解説
「羅生門/芥川龍之介のあらすじ1」ー 飢え死にか盗人か…一人の男の苦悩
数年間に及ぶ天災や飢饉によって京都の町は大不況に見舞われていました。
「ある一人の男」もこの大不況の影響で職を失い、行く当てもなく「羅生門」の石段で雨宿りをしていました。
この頃の羅生門は盗人や狐狸(こり:詐欺師や悪事を働くもの)が住みついていて、さらに引き取り手のない死体も捨てられていたため、
普通の人間は気持ち悪がって誰も近づこうとしない場所でした。
羅生門で雨宿りをする「一人の男」は、このまま無為に過ごしていてはいずれは飢え死にし、
羅生門に打ち捨てられた死体と同じ運命をたどってしまいます。
男が飢え死にしないためには「盗人」になるしかありませんでしたが、
男には盗人になる勇気がなかなか持てず、先ほどからずっと羅生門で悩んでいたのです。
「羅生門/芥川龍之介のあらすじ2」ー 老婆の悪行と罪への憎しみ
男が羅生門で盗人になるか悩んでいるうちに日は暮れてきました。
男は寒さをしのぐために、羅生門の前で一晩を明かそうと決めました。
男が羅生門の梯子(はしご)を上っていると、死体しかないはずの羅生門で誰かが火を灯しているのに気がつきます。
男は静かに梯子を上り、中の様子をうかがいます。
羅生門の中は噂通りに死体が多数捨てられており、死体の腐敗した臭いに男は鼻を覆いました。
しかし次の瞬間、男は臭気のことなど忘れてしまうような異様な光景を目にしました。
それは、やせた猿のような「老婆」が火を灯して死体をのぞき込んでいる光景でした。
男は息をするのも忘れるほどの恐怖と好奇心で、老婆の行動を観察しました。
老婆は死体の首に両手をかけ、死体の長い髪の毛を抜いていました。
その光景を観察していた男のなかに、次第に老婆に対する”激しい憎悪”の感情が芽生え始めます。
つい先ほどまで男は盗人になろうかと悩んでいたにもかかわらず、
男はそのことを忘れ「あらゆる悪を憎む心」がふつふつと湧きあがります。
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「羅生門/芥川龍之介のあらすじ3」ー ”悪への憎しみ”から”悪の肯定”へ
老婆の行動を観察していた男は太刀(たち)に手にとり、老婆に歩み寄ります。
老婆は男の存在に気づき驚いて逃げようとしますが、男は老婆を押し倒し「何をしていたのか」と問いただします。
老婆は死体の髪の毛を抜いてカツラを作ろうとしていたといいます。
老婆の話によれば、髪を抜いていた死体の女は「蛇を干し魚だ」と偽って売っていた悪人だそうで、
このくらいの報いを受けて当然だといいます。
続けて老婆は男に「飢え死にしたくないから、死人の髪の毛を抜くのは仕方がないのだ」といいます。
このとき、老婆の言葉を聞いていた男に「ある勇気」が生まれてきます。
自分も飢え死にはしたくない…、この老婆と同じ状況である……、
ならばこの老婆も自分のこれからすることを大目に見てくれる違いない………。
男が数時間前まで悩み続け決断することのできなかった”勇気”、それはついさっきまで感じていた「悪を憎む心」とは正反対の”勇気”でした。
老婆の話が終わると、男はあざけるような声で「そうか」と言います。
そして老婆の襟首をつかみ「では、俺がお前の着物を剥いでも恨むなよ。俺もそうしなければ飢え死にするから」と言って、
老婆の着物を剥ぎ取ってしまいます。
足にしがみつく老婆を死体の上に蹴倒して、男は梯子をかけおりていきます。
老婆はうめき声をあげながら梯子の下をのぞき込みました。
そこには真っ暗な闇があるだけでした。
その後の男の行方は誰も知りません。
以上が『羅生門/芥川龍之介』のあらすじと要約です。
男は老婆の悪行をみて、最初は「悪への憎悪」を感じるのですが老婆の話を聞いているうちに「悪の肯定」へと突き進みます。
この作品は「男」が主人公というわけではなく、男が簡単に盗人へと早変わり姿を通して、
「人間の身勝手さ(エゴイズム)」と「人間という存在の弱さ」を具象化した作品です。
私が初めて「羅生門」を読んだときは、気味の悪さとわかりやすい構成に惹かれたものですが、
今読み返してみると「男の悪への憎悪」が簡単に「悪も罪も仕方がない」と変容する様が現実社会に通じるように感じてしまいます。
自分だけが大事なのは仕方のないことで、自分の命を犠牲にしてまで正義を貫こうとする人は誰もいないでしょう。
これはあくまで私の勝手な解釈なので、あらすじではなくぜひ一度『羅生門/芥川龍之介』を一読してどんな感想をもつか楽しんでみてください。
芥川龍之介は有名な作家なだけあって、書店でも500円以下で短編集が売られています。
一緒に収録されている「鼻」や「蜘蛛の糸」といった作品にもぜひ触れてみてください。
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