今回は『舞姫/森鴎外のあらすじと要約』です。
「舞姫」や「森鴎外」という名前だけは知っていても、実際に舞姫を読んだことのある方は意外と少ないようですね。
森鴎外の本名は「林太郎」と言って、東大医学部を卒業した後、陸軍軍医総監にまで上り詰めた超エリートです。
そんな医学の第一戦で働くかたわら、文学にも積極的に取り組み、
「阿部一族」や「寒山拾得」をはじめとする「歴史小説・史伝物」も多く書いています。
今回は『舞姫/森鴎外ーあらすじ・現代語訳・簡単な要約・読書感想文・解説』として、
森鴎外の最も有名な作品である「舞姫」について説明していきます。
エリート官僚が「恋愛」をとるのか「出世」をとるのか究極の2択を迫られるお話です。
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舞姫/森鴎外【あらすじ・現代語訳・簡単な要約・読書感想文・解説】
「舞姫/森鴎外ーあらすじ・現代語訳・簡単な要約・読書感想文・解説」まとめ
・ 豊太郎は小さいころから英才教育を受ける
・ そのかいあって、22歳の頃ベルリンに留学する
・ ヨーロッパの自由な雰囲気のもと、豊太郎は自我に目覚める
・ 美しい踊り子のエリスと出会うが、それがきっかけで職を失う
・ 友人・相沢の紹介で新たな職を手にするが、相沢にエリスと別れる約束をする
・ 豊太郎は「エリスへの愛情」か「名誉と出世」のどちらかを選ばなくてはならなくなる
・ 悩み続け豊太郎は病に倒れるが、目を覚ますと発狂したエリスの姿があった
・ エリスは豊太郎が自分を裏切って「出世」の道を選ぼうとしていることを知り、狂人となっていた
・ 結局、豊太郎はエリスを捨て「出世」の道を選ぶ
・ 豊太郎のこころには、相沢への感謝の気持ちの裏に"憎しみ"の感情が消えずに残る
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『舞姫/森鴎外』の簡単・分かりやすい要約・現代語訳
『舞姫/森鴎外』の主な登場人物は3人です。
1、主人公の「大田豊太郎」
2、美しい踊り子の「エリス」
3、友人の「相沢謙一」
ここからは『舞姫/森鴎外の簡単・分かりやすい要約』として概要だけ説明していきます。
豊太郎は幼いころから厳しい教育を受けていたこともあり、日本の官僚としてベルリン(ドイツ)に留学します。
しかし、豊太郎はヨーロッパの自由な考えに感化されていくうちに、
「親の意見」や「国の指示」に従っているだけではないか、自分の意志はどこにあるのかーという"自我の精神"に目覚めます。
そんな時、経済的に困っている美しい踊り子の"エリス"と出会います。
最初のうちは豊太郎とエリスは「師弟」のような関係だったのですが、それが仲間の反感を買い「官僚」としての職を失ってしまいます。
豊太郎は積み上げてきたキャリアがなくなったことで絶望しますが、友人の相沢謙一のおかげで新たな職に就くことができます。
この頃には豊太郎とエリスは恋仲になっていましたが、
友人の相沢は「豊太郎のエリスに対する感情は恋ではなく、惰性だ」として豊太郎にエリスと別れるよう忠告します。
豊太郎は相沢を無視することができず、ついにはエリスと別れる約束をしてしまいます。
しかし、なかなかエリスに別れ話を告げられないまま時は流れていきますが、
ついに豊太郎の念願だった「日本への帰国話」が豊太郎に持ち上がります。
日本へ帰国すれば一度は失った「名誉」を取り戻すことができ、さらに「出世」という希望が見えてきます。
しかし、”名誉” と ”出世” のためには「エリス」と別れなければなりません。
「愛情」と「出世」…どちらを選ぶか豊太郎は悩み続け、ついに病に倒れてしまいます。
豊太郎が目を覚ますと、目の前には狂人となったエリスがいました。
エリスは相沢からすべての事情を聴き、悲しみと絶望で狂ってしまったのです。
そんなエリスを残し、豊太郎は「愛情」ではなく「出世」を選びました。
以上が簡単な『舞姫/森鴎外』の要約です。
もう少し章をわけて説明した方がわかりやすいと思うので、以下に『舞姫/森鴎外』のあらすじも載せておきます。
『舞姫/森鴎外』のあらすじ・解説
『舞姫/森鴎外のあらすじ1』ー 主人公"豊太郎"と 踊り子"エリス"の出会い
主人公の太田豊太郎は小さいころから厳しい教育を受けていたこともあり、
官僚となって3年目の22歳の時、ベルリンに留学することになります。
初めて見るヨーロッパは豊太郎にとって非常に新鮮なものでしたが、
学問に専念するため、それらの誘惑や魅力を一切断ち勉強一筋で大学に通い詰めます。
しかし、豊太郎はヨーロッパの自由な雰囲気に次第に感化されていき、彼が25歳になった頃、
これまで受けてきた「母親の教育」や「国の期待」に縛られているだけで、自分の意志で行動してこなかったのではないかと考え始めます。
そんな「自我の目覚め」を感じていた頃に、美しい踊り子のエリスと出会います。
エリスは父親が死んだことで、母とともに路頭に迷っている身でした。
豊太郎はエリス母娘への同情心などから彼女らの経済的危機を救ったのですが、それがきっかけで豊太郎とエリスは親密になります。
この頃はまだ恋愛関係にはなく、豊太郎とエリスはいわば「師弟」のような関係でしたが、
このことが仲間の反感を買い故国に伝えられ、ついには豊太郎は免職処分となってしまします。
さらに、同じ時期に豊太郎の母親が亡くなり、豊太郎は「職」と「家族」を同時になくし、深く失望します。
そんな豊太郎を救ったのが友人の「相沢謙一」でした。
『舞姫/森鴎外のあらすじ2』ー 友人・相沢の忠告とエリスとの別れ
友人・相沢謙一の紹介により豊太郎はドイツの通信員として働くことになります。
相沢の紹介で職を得た豊太郎は、エリス母娘の家に居候することにし、この頃には豊太郎とエリスは互いに愛し合い、恋人関係になっていました。
豊太郎は新たな職を手にし、学問に専念できないという不満はありつつも、満足感を感じる生活を送っていました。
そんな生活が続くと思われた矢先、エリスが豊太郎の子を身ごもります。
豊太郎はエリスの妊娠に気づき、次第に将来への不安を感じ始めます。
友人の相沢は「豊太郎がエリスに感じているのは愛情ではなく、ただの惰性だ」と豊太郎に告げ、エリスと別れるよう忠告します。
豊太郎は、これまでお世話になった相沢の忠告を無視することはできず、ついにエリスと別れることを約束します。
しかし、豊太郎はエリスに別れ話を切り出すことができず、しばし惰性の日々を過ごします。
その後、豊太郎は相沢の紹介でロシアの通訳として働きますが、エリスはロシアまで毎日手紙を送ってくれていました。
相沢には「エリスと別れる」と約束していたため、エリスとの交際が相沢に知られれば彼を裏切ることに繋がります。
相沢を裏切れば再び職を失うかもしれない…。
「エリスへの愛情」と「出世・将来の安定」…どちらを選ぶべきか豊太郎は悩み続けます。
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『舞姫/森鴎外のあらすじ3』ー エリスの発狂と豊太郎の決断
そんな矢先に再び相沢のつてで、日本への帰国話が持ち上がります。
帰国すれば、一度は失った「名誉」を取り戻すことができるため、豊太郎はエリスのことを棚上げし帰国話に乗ってしまいます。
しかし、当のエリスにはなかなか別れ話を切り出すことはできず、豊太郎は深く自己嫌悪に陥ります。
悩み続けた豊太郎は街を徘徊し、ついに病で倒れてしましまます。
豊太郎は数週間寝込み、目を覚ましてみたのは「エリスの発狂した姿」でした。
豊太郎が寝込んでいる間に、相沢が「豊太郎がエリスと別れる約束をしたこと」「豊太郎が日本に帰国すること」をエリスに伝えていたのです。
それを知ったエリスは悲しみと絶望で狂ったように泣きわめいていました。
生きる屍のようになったエリスを抱いて豊太郎は涙しますが、最終的にはエリスを見捨て、彼だけが日本へ帰国します。
豊太郎の心には、相沢が職を紹介してくれたことに対する感謝の念があるとともに、
心のどこかに相沢に対する憎しみの気持ちが消えずに残っているのでした。
以上が『舞姫/森鴎外のあらすじと要約』です。
豊太郎は「エリスへの愛情」と「日本での出世話」の間で悩み続けますが、最終的には「出世」を選びます。
エリスへの気持ちが「愛」だったのか「同情と惰性」だったのかは分かりませんが、
今まで培ってきた努力と名誉を無駄にしたくないという気持ちの方が豊太郎の中で強かったのかもしれません。
『舞姫/森鴎外』は1890年の作品なので文章が小難しく読みづらいかもしれませんが、
特に中高生の方にはぜひ原文を一読していただきたい作品です。
おそらく学生の頃と社会に出てからでは、『舞姫/森鴎外』に対する見解は異なってくるでしょう。
ネットで600円程度で買えるので、お時間のある方はぜひ一読してみてください。
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