注文の多い料理店/宮沢賢治【あらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説】

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今回は『注文の多い料理店/宮沢賢治のあらすじと要約』です。

 

宮沢賢治といえば、誰もが「銀河鉄道の夜」と「注文の多い料理店」を思い浮かべるほどの名作ですね。

Restaurant of Many Orders-Miyazawa Kenji-Synopsis

 

本作は、”食べる側と食べられる側” の立場が逆転してしまうというユーモラスな設定になっています。

 

今回は『注文の多い料理店/宮沢賢治【あらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説】』として、

短く・わかりやすく” 書いていくので、おもしろおかしい、風刺(社会・人の批判)たっぷりの名作をお楽しみください!

※ 時間のない方向けに、最初に「まとめ」を載せています

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注文の多い料理店/宮沢賢治【あらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説】

「注文の多い料理店/宮沢賢治|あらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説」まとめ

・ 2人の紳士が山に狩りに行き、迷子になった

・ 連れてきた2匹の犬はすでに死んでしまった

・ すると、目の前にレストランが現れた

・ レストランには「当軒は注文の多い料理店ですから、どうかご了承ください」と書いあった

・ 紳士たちは疑いもせず、どんどんと中に進んでいった

・ しかし、次から次へと奇妙な ”注文” が書かれてあった

・ すべての ”注文” に2人は従ったが、最後の「塩をもみこむこと」で2人はようやく気が付いた

・ レストランは、客に料理を出すのではなく、客が料理として出されるのだということに

・ 前の扉の鍵穴からは、大きな目玉がこちらをのぞいており、2人はただ泣くことしかできなかった

・ すると突然、後ろの扉から死んだはずの犬が走ってきた

・ 犬は前方の扉にそのまま突入し、ひと騒ぎあった後、レストランは跡形もなく消え去った

・ 2人の紳士は助かったが、恐怖のせいでクシャクシャになった顔はもう元に戻らなかった

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『注文の多い料理店/宮沢賢治』の簡単・分かりやすい要約

 

『注文の多い料理店/宮沢賢治』の主な登場人物は2人(+2匹)です。

 

1、2人の紳士:自己中心的で、犬が死んだというのに金勘定ばかりしている

2、2匹の犬:紳士を助けるため、よみがえる…!

 

ここからは『注文の多い料理店/宮沢賢治の簡単・分かりやすい要約』として、概要だけ説明していきます。

 

 

2人の若い紳士が、山に狩りに来ていました。

 

山の案内人とは途中ではぐれ、連れてきた2匹の犬も死んだというのに、

紳士たちは「いくら損した」と金勘定ばかりしています

 

そのうち、山は異様な空気に包まれていき、ついには2人の紳士は道に迷ってしまいました。

 

さすがの2人もだんだんと怖くなっていきましたが、山の中に立派なレストランが立っているのがみえました。

 

2人は、安心してレストランの中へと入っていくと、そこには

「当軒は注文の多い料理店ですから、どうかご了承ください」

と書いてあります。

 

紳士たちは疑いもせず、どんどんと中に進んでいきました。

 

しかし、次々と奇妙な ”注文” が書かれてあります

 

「髪を整えて、靴の汚れを落とすこと」

「鉄砲と弾丸を置くこと」

「帽子とコート、靴を脱ぐこと」

「金属、とがったものを置くこと」

「クリームを塗ること」

「頭に香水をかけること」

「塩をもみこむこと」

 

ここまできて2人の紳士はようやく気が付きました。

 

このレストランは、”客を料理として食べる” のだと…。

 

2人は慌てて逃げ出そうとしますが、前の扉の鍵穴からは、

大きな青い眼玉がキョロキョロとこちらをのぞいていました。

 

2人は恐怖のあまり動くことができませんでした。

 

ーその時。

 

後ろの扉から死んだはずの2匹の犬が走ってきて、前の扉に向かって突進していきました。

 

大きな騒ぎがあった後、レストランはけむりのように姿を消し、2人の裸の紳士はただ立ちつくしていました。

 

その後、2人は無事に帰ることができましたが、恐怖のせいでクシャクシャになった顔はもう元には戻りませんでした

 

 

以上が簡単な『注文の多い料理店/宮沢賢治』の要約です。

もう少し章をわけて説明した方がわかりやすいと思うので、以下に『注文の多い料理店/宮沢賢治』のあらすじも載せておきます。

 

 

『注文の多い料理店/宮沢賢治』のあらすじ・解説

 

ここからは「注文の多い料理店/宮沢賢治」のあらすじと解説です。

 

自己中心的な2人の紳士が、狩りで迷子に…

猟銃をもった2人の若い紳士が、山に狩りに来ていました。

 

山は深い奥地にあり、おそろしい雰囲気をしていました。

 

山を案内してくれた人とは途中ではぐれてしまい、連れてきた2匹の犬も死んでしまいました。

 

そのうえ獲物が1匹もとれなかったので、2人の紳士は山を下りようとしますが、

2人は「やれいくら損した」というお金の話ばかりをしています。

 

そのうち、風は強まり、木々はざわめき、山は異様な空気に包まれていき、

ついには2人の紳士は道に迷ってしまいました。

 

さすがの2人も次第に怖くなっていきましたが、

ふと後ろを振り返ると立派な洋館が立っているのがみえました。

 

振り返ると、そこにはレストランが…!

洋館は「山猫軒(やまねこけん)」というレストランで、やたらとたくさんの扉がありました。

 

2人の紳士は、安心してレストランの中へと入っていきました。

 

すると

「当軒は注文の多い料理店ですから、どうかご了承ください」

と書いてあります。

 

紳士たちは ”さぞ繁盛しているのだろう” と考え、感心しながら進んでいきました。

 

次々とおかしな注文がくるが…?

次の扉には

「髪を整えて、靴の汚れを落としてください」

と書かれています。

 

紳士たちは素直に、置いてあったブラシで指示に従いました。

 

指示を終えると、不思議なことにすーっとブラシは消えてなくなりました。

 

驚きはするものの、紳士たちはどんどん中に進んでいきます。

 

次の扉には

「鉄砲と弾丸を置いてください」

と書いてあります。

 

これにも素直に従う紳士たち…。

 

その次の扉には

「帽子とコート、靴を脱ぐこと」

と書いてあります。

 

その次は

「金属、とがったものを置くこと」

次は

「クリームを塗ること」

次は

「頭に香水をかけること」

次は

「塩をもみこむこと」

 

ここまできて2人の紳士はようやく気が付きました。

 

「山猫軒」というレストランは、”客に料理を食べさせる” のではなく、”客を料理として食べる” のだということに…。

 

絶体絶命のピンチを救うのは…!

2人は慌てて逃げ出そうとしますが、前の扉の鍵穴から、

大きな青い眼玉がキョロキョロとこちらをのぞいていました。

 

あまりに恐ろしく、2人はただただ泣くばかりで、もう動くことができません。

 

ーその瞬間。

 

突然、後ろの扉が壊され、2匹の犬が走ってきました。

 

それは死んだはずの紳士たちの犬で、前の扉に向かって突進していきます。

 

扉の向こうでは戦うような大騒ぎになったあと、

しばらくすると「山猫軒」はけむりのように姿を消し、2人の裸の紳士がただ立ちつくしていました。

 

その後、はぐれた案内人が戻ってきて、2人の紳士は無事に帰ることができましたが、

恐怖のあまりクシャクシャになった顔はもう元には戻りませんでした。

 

 

以上が「注文の多い料理店/宮沢賢治」のあらすじです。

 

「注文の多い料理店」は、典型的な風刺(:社会や人の批判)の童話作品です

 

とくに「食べられる側」と「食べる側」の立場が逆転するのが非常に面白い点です。

 

本来、”人間が動物を食べる” わけですが、「注文の多い料理店」では ”動物が人間を食べる” 設定にすることで、

傲慢な人間がちょっとしたことで弱者に変わるということ、生(飼い犬の死)を蔑ろ(ないがしろ)にした報いを受けることが見事に強調されています。

 

実際に、作者の宮沢賢治自体も「田舎の貧しい子供たちと、都会文明とその傲慢さの対比(意訳)」をテーマとして、

本作品を書き上げたと述べています。

 

ただ、1つ大きな疑問点であるのは「なぜ見捨てられた犬は主人を助けたのか」ということです。

 

「注文の多い料理店」のテーマが ”傲慢に対する因果応報” であるならば、

本来、紳士たちには ”死” という結末が妥当であるはずです。

 

それは、「狩猟されることで動物は死に、飼い犬は実際に死んだ」という原因があるからです。

 

その結果として、”因果応報” の先にあるのは ”紳士たちの死” であることは自明でしょう。

 

しかし、作品の中で紳士たちが無事に生きて帰れたことは、純粋に「注文の多い料理店」が ”童話” だったからではないでしょうか?

 

”童話” のなかには残酷なものが多くみられますが、少なくとも宮沢賢治に関してはハッピーエンドではないけれど、

後味の良い作品が多数を占めているように感じます。

 

例えば、最も有名な「銀河鉄道の夜」にしても、親友が実は亡くなっていたというオチですが、

主人公に葛藤はあっても、死んだ親友にとっては満足した一生だという描き方になっています(正確には自分自身で満足だと思い込むような描き方です)。

 

そのため、「注文の多い料理店」においても残酷な結末は選ばず、

しかしテーマに沿って「恐怖のあまりクシャクシャになった顔はもう元には戻りませんでした」という結末で妥協したのではないかと個人的には思います。

 

これはあくまで個人的な感想ですので、

ぜひ皆さんも原作を一度全文お読みになってみて、自分ならどういう感想をもつか考えてみてはいかがでしょうか?

 

 

以上、『注文の多い料理店/宮沢賢治【あらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説】』でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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