今回は『檸檬(れもん)/梶井基次郎』のあらすじと要約です。
「梶井基次郎」と聞いてもピンとこない方が多いかもしれませんが、同人誌の「青空」を創刊した有名人です。
代表作は今回あらすじを紹介する「檸檬」で、
檸檬が小林秀雄に高く評価されたことで梶井基次郎自体の文壇的評価も高まりました。
梶井基次郎が「檸檬」を発表したころにはすでに神経衰弱気味となっていたのですが、
その影響もあって【以前の私】と【その頃の私】の対比が見事に表現されています。
今回は『檸檬/梶井基次郎のあらすじ・簡単な要約・解説』として、
檸檬によって安らぎを得る主人公のちょっと変わった性癖をお楽しみください。
※ お時間のない方向けに ”最初に「あらすじ・要約のまとめ」を載せている” ので、そちらだけでもお読みください<(_ _)>
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檸檬/梶井基次郎【あらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説】
「檸檬/梶井基次郎ーあらすじ・簡単な要約・読書感想文用・解説」まとめ
・ 「その頃の私」はいつも得体の知れない何かに圧迫されていた
・ 元気だったころの「以前の私」は丸善でいろいろな商品を眺めるのが好きだった
・ しかし、生活がむしばまれた「その頃の私」は丸善を忌み嫌っていた
・ 「その頃の私」が好きだったものと言えば、みすぼらしさを感じられる裏通りやおはじきなどを舐めることだった
・ とりわけ「その頃の私」は果物屋が好きだった
・ ある朝、私は果物屋で檸檬を1個購入する
・ すると檸檬のおかげで今までの憂鬱が嘘のように晴れた
・ そして気が付くと丸善の前にいた
・ 私は丸善に入っていくが、次第に憂鬱な気分が戻ってくる
・ 画集を取り出しては元に戻す行為をしているうちにまた憂鬱になっていく
・ その時、私は持っていた檸檬のことを思い出した
・ すると憂鬱は晴れ、画集を積み上げて城を作った
・ そして私はその城の頂に檸檬を載せ、そのまま外に出ていった
・ あの檸檬が実は爆弾で10分後に大爆発すれば面白いのにーと私は考えた
【檸檬】好きの方に人気の作品
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『檸檬/梶井基次郎』の簡単・分かりやすい要約
『檸檬/梶井基次郎』の主な登場人物は、主人公である「私」1人です。
しかし対比として、元気だった時代の「以前の私」と生活がむしばまれた「その頃の私」の2種類が使われています。
読み進めるうちに混乱しないように、ちょっとくどいくらい”以前”と”その頃”を交えて書いていきますね。
では、『檸檬/梶井基次郎の簡単・分かりやすい要約』として概要だけまずは説明します。
「その頃の私」はいつも心が圧迫されているように感じていました。
どんなに美しいものにも耐えられず、私は街を放浪し続けました。
そんな「その頃の私」が好きだったのは裏通りのみすぼらしさや安っぽい花火でした。
また、おはじきや南京玉を舐めることも私の享楽の1つでした。
「以前の私」は丸善に強く惹かれていて、丸善にあるカラフルなコロンや香水をみるのに1時間も費やすほどでした。
しかし、「その頃の私」にとって丸善は重苦しく、暑苦しい場所に過ぎませんでした。
「その頃の私」がとりわけ好きだったのは果物屋です。
ある朝、果物屋に行って ”檸檬” を1つだけ買いました。
そして、檸檬を買ってからの私は非常に幸せでした。
檸檬の冷たさが体に染みわたり、レモンの香りをかぐと体が元気に目覚めてきたのです。
たった1個の檸檬が「その頃の私」の憂鬱(ゆううつ)を吹き飛ばしてくれました。
そして、気が付くと「その頃の私」が忌み嫌っていた丸善の前に立っていました。
私は丸善にずかずかと入っていきました。
ところが、檸檬によってもたらされた幸福の感情は次第に消えていき、憂鬱が舞い戻ってきました。
私は画集を取り出してはみますが、いっこうに読みたいという気持ちにはなりません。
画集を取り出しては戻す、また取り出しては戻すという行為を繰り返しますが、
もう取り出した画集をもとの場所に戻すこともできません。
その時、私は持っていた檸檬のことを思い出しました。
すると先ほどの晴れやかな気持ちが戻り、私は画集を積み上げてお城を作り上げました。
そして、恐る恐るその城の頂に檸檬を据え付けてみました。
不意に私に第2のアイディアが浮かびます… このまま何食わぬ顔をして出て行ってしまおう。
私は丸善をすたすたと出ていきました。
あの黄金色に輝く爆弾を仕掛けてきた悪漢が私で、10分後に大爆発をしたら面白いと私は思いました。
以上が簡単な『檸檬/梶井基次郎』の要約です。
もっと詳しく説明しないと意味不明な作品だと思うので、以下に『檸檬/梶井基次郎のあらすじ』も載せておきます。
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『檸檬/梶井基次郎』のあらすじ・解説
「檸檬/梶井基次郎のあらすじ1」ー ”その頃の私” と ”以前の私” が好きだったもの
得体の知れない不吉な塊がいつも「(その頃の)私」の心を押さえつけていました。
どんなに美しい音楽や詩であっても私の心が安らぐことはなく、何かが私の心を圧迫していたのです。
私はそんな何かから逃れるように、終始街から街へと放浪を続けていました。
なぜだかそのころの私はみすぼらして美しいものに強く惹かれていました。
例えば裏通りです。
裏通りには汚い洗濯物がそのまま干してあったり、むさくるしい部屋がのぞいていたりして好きでした。
また花火も好きになりました。
安っぽい色の縞模様の花火やねずみ花火などは私の心を変にそそるのでした。
それからおはじきや南京玉を舐めてみるのもまた、私の享楽の1つでした。
生活がむしばまれていなかった「以前の私」の好きな場所といえば、いろいろなものが置いてある京都の丸善でした。
丸善には書籍などの他にも、赤や黄のオーデコロン、
琥珀(こはく)色や翡翠(ひすい)色をした香水瓶をみるのに小一時間も費やすほどでした。
しかし、丸善も「その頃の私」にとっては重苦しい場所に過ぎず、ただただ避けていました。
「檸檬/梶井基次郎のあらすじ2」ー 檸檬が心に安らぎを与える
ある朝、「(その頃の)私」は果物屋の前で足を止めました。
果物屋は私の知っている中でもっとも好きな店であり、果物屋固有の美しさに惹かれていました。
その果物屋で私は「檸檬」を一つだけ買いました。
それからの私は非常に幸福でした。
檸檬の冷たさは例えようもなく、檸檬を握っていると冷たさが手のひらから体内に染みとおっていくようでした。
あんなにしつこく付きまとっていた憂鬱がたった1個の檸檬で吹き飛んでしまったのです。
それから私は檸檬を香りを何度もかぎました。
そして深く匂やかな空気を吸い込むうちに、私の体が元気に目覚めていくのでした。
その後、どこをどう歩いたのかは分かりませんが、気が付くと丸善の前に立っていました。
丸善は「以前の私」が好きだった場所であり、「その頃の私」は忌み嫌っていた場所です。
私は丸善の中にずかずかと入っていきました。
「檸檬/梶井基次郎のあらすじ3」ー 丸善に仕掛ける檸檬爆弾
丸善に入ると、それまでの幸福が嘘だったようにだんだんと憂鬱になっていきました。
丸善の店舗に入り、画集を1冊ずつ抜き出してはみますが、いっこうにめくろうという気持ちにはなりません。
また次の1冊を取り出してみますが、また読む気にはなれず元の場所に戻しました。
何度も画集を取り出しては戻すという行為を繰り返しますが、どんどんと憂鬱になっていきます。
もう私は画集をもとの場所に戻すこともできなくなっていました。
その時、私は持っていた檸檬のことを思い出しました。
すると先ほどの軽やかな興奮が蘇ってきました。
私は画集を手当たり次第に積み上げてはつぶし、また積上げて、ついに奇怪で幻想的な城が作り上げました。
そしてその城の頂に、恐る恐るあの檸檬を据え付けてみました。
すると私は第二のアイディアを思いつきました。
それは、檸檬のお城をそのままにして何食わぬ顔で外へ出て行ってしまおうというものです。
そして、私はすたすたと丸善をあとにしました。
あの黄金色に輝くのが実は爆弾で、10分後に丸善が爆発したらどんなに面白いだろう。
以上が『檸檬/梶井基次郎』のあらすじと要約です。
なんとも不思議で奇妙なオチですねw
正直なところ、今の私にとっては「檸檬」という作品は怪奇小説というイメージしかないのですが、
確かに「以前の私」と「その頃の私」の対比は見事ですし、
よくわからないながらも檸檬によって憂鬱が晴れるという描写はわかりやすくもあります。
元気だったころの「以前の私」と生活がむしばまれた「その頃の私」の対比として象徴的なシンボルとなっているは、
やはり檸檬爆弾をしかけた「丸善」でしょう。
「以前の私」は小1時間も丸善で眺めているほど好きだったのに、「その頃の私」は入店するだけで憂鬱な気分になります。
しかしたった1個の「檸檬」がそんな憂鬱を晴らし、最後には爆弾などという空想の享楽までもたらせる。
ちょっと私には理解しがたい心情の変化であるため、また数年後、人生経験を積んでから再読したいと思います。。。
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