今回は『走れメロス/太宰治のあらすじと要約』です。
太宰治と聞くと「人間失格」のように ”暗い・絶望” といったイメージをもっている方が多いかもしれませんが、
実は太宰治の中期では ”明るい・希望” といったテーマの作品が多くみられます。
今回の「走れメロス」もまさに ”希望” を象徴する作品で、
「人を信じることの素晴らしさ」「友情の大切さ」と同時に、「正義に伴う代償」についてもうまく描かれています。
今回は『走れメロス/太宰治【あらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説】』として、
現代の中学生にも理解してもらえるように ”短く・わかりやすく” 書いていくので、ちょっと不自然な(?)友情物語をお楽しみください!
※ 時間のない方向けに、最初に「まとめ」を載せています
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走れメロス/太宰治【あらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説】
「走れメロス/太宰治|あらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説」まとめ
・ メロスは正義感に満ちあふれた青年で、妹の結婚式が間近に迫っていた
・ ディオニス王は人間不信で、次々に人を殺していた
・ メロスは人を信じられないディオニス王を責めたて、ディオニス王に処刑されそうになる
・ しかし、メロスは妹の結婚式には出たいと、友人のセリヌンティウスを人質に差し出す
・ メロスは3日後の日没までに必ず戻ると約束し、妹が待つ村に走っていった
・ 妹の結婚式を無事に終え、3日目の朝、メロスは町に向かって走り出した
・ メロスは道中ではさまざまな困難に巻き込まれ、一度はセリヌンティウスを見捨てようかと考えてしまう
・ しかし、それでもメロスは走り続け、時間ギリギリに処刑場にたどり着いた
・ メロスとセリヌンティウスは、お互いに一度だけ友を信じなかったことを素直に告白した
・ メロスとセリヌンティウスは互いの罪を許し、殴り合った
・ それをみていたディオニス王は改心し、町の群衆からは大きな歓声が沸き起こった
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『走れメロス/太宰治』の簡単・分かりやすい要約
『走れメロス/太宰治』の主な登場人物は3人です。
1、メロス:主人公。正義感が強く、人を信じることの素晴らしさと大切さを知っている
2、ディオニス:王様。人間不信で、次々に人を殺している
3、セリヌンティウス:メロスの親友。2年ぶりに会ったメロスのことを信じ、黙って人質になることを受け入れる
ここからは『走れメロス/太宰治の簡単・分かりやすい要約』として、概要だけ説明していきます。
メロスは走りました。
友人を救うため、そして友情と信頼が本当にあることを証明するために。
メロスは正義感に満ちあふれた青年で、妹の結婚用品を買うためにシラクスという町に来ていました。
”シラクスでは人間不信になったディオニス王が、次々に人を殺している” という噂をメロスは耳にします。
正義感の強かったメロスは激しく怒り、ディオニス王を糾弾しました。
メロス「人の心を疑うのはもっとも恥じるべき行為だ」
ディオニス「今は偉そうなことを言っていても、お前も磔(はりつけ)になれば考えを改めるさ」
メロスは死ぬ覚悟はできていましたが、妹の結婚式が終わるまで3日間待って欲しいと告げます。
代わりに親友である「セリヌンティウス」を人質として差し出し、3日後の日没までに自分が戻らなければ、彼を処刑するように条件を出します。
ディオニスはメロスが戻ってこないことを確信していましたが、
セリヌンティウスを処刑することで町民に ”人を信じること” の無意味さを知らしめるため、メロスの話を受け入れました。
メロスはセリヌンティウスを町に残して村へ戻り、2日目には妹の結婚式をあげました。
そして処刑日である3日目の朝に、メロスは町に向かって走り出します。
町への道中では、川の氾濫に巻き込まれたり、山賊に襲われたりしましたが、なんとか処刑ギリギリでメロスは間に合いました。
そして、メロスとセリヌンティウスはお互いに一度だけ友を信じなかったことを素直に告白し、
ともに殴り合いました。
ディオニス王は ”真実はけっして空虚な妄想ではなかった” と言い、自分の非を認め、
町の群衆からは大きな歓声が沸き起こりました。
以上が簡単な『走れメロス/太宰治』の要約です。
もう少し章をわけて説明した方がわかりやすいと思うので、以下に『走れメロス/太宰治』のあらすじも載せておきます。
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『走れメロス/太宰治』のあらすじ・解説
ここからは「走れメロス/太宰治」のあらすじと解説です。
メロスの旅立ち
メロスは走りました。
友人を救うため、そして友情と信頼が本当にあることを証明するために。
メロスは村の牧人で、正義感に満ちあふれた青年でした。
メロスには両親も妻もおらず、妹と二人だけで暮らしていました。
そんな唯一の肉親である妹が結婚することになったため、
10里(約40km)離れたシラクスという町に、妹の結婚式で必要なものを買いに来ていました。
人間不信のディオニス王とメロスの契約
シラクスに着くと、メロスは町が以前より静かで暗くなっていることに気づきます。
町民に話を聞くと、王様である「ディオニス」が他人を信じられなくなって、次々に人を殺しているというのです。
正義感の強かったメロスは激しく怒り、ディオニス王の城に乗り込みました。
メロスはディオニスを糾弾します。
メロス「人の心を疑うのはもっとも恥じるべき行為だ」
ディオニス「人の心は信用できない。お前も今は偉そうなことを言っているが、磔(はりつけ)になれば考えも変わるだろう」
ディオニスはメロスのことをあざ笑い、処刑しようとしました。
メロスも死ぬ覚悟はできていましたが、妹の結婚式が終わるまで3日間待って欲しいと告げます。
その代わりに2年ぶりに再開したばかりの親友である「セリヌンティウス」を人質としておき、
3日後の日没までに自分が戻らなければ、セリヌンティウスを代わりに処刑するように条件を出します。
ディオニスはメロスが戻ってくることは絶対にないと考えましたが、
セリヌンティウスを処刑することで町民に ”人を信じること” の無意味さを知らしめるため、メロスの話を受け入れました。
セリヌンティウスは、メロスの話を聞くと無言でうなづき、人質となることを了解しました。
メロスの信念と、たった一度の裏切り
メロスはセリヌンティウスを町に残して、一晩中 妹が待つ村へと走り続けました。
翌日の午前中には村に着き、次の日に結婚式は無事に行われました。
そしてセリヌンティウスの処刑日である3日目の朝、メロスは町に向かって走り出します。
町への道中では、川の氾濫に巻き込まれて橋がなくなったり、
山賊に遭遇し殺されそうになりましたが、それでもなんとかメロスはピンチを乗り切りました。
しかし、ついにメロスも力尽き、その場に倒れこんでしまいます。
メロスは気力を奮い立たせることがでず、一度はセリヌンティウスを見捨ててこのまま逃げてしまおうかと考えてしまいます。
その時、すぐそばの岩から清水がしみだしてきました。
メロスがその清水を飲むと再び気力がわきだしてくるのを感じ、
ディオニス王に人を信じることの意味を教えるため、そして何より自分を信じ身代わりになってくれたセリヌンティウスのために、
メロスは再び走り出します。
友情と信頼の素晴らしさと、王の改心
太陽が今にも沈むその時、メロスは処刑場に踏み込みました。
メロスとセリヌンティウスは互いに歩み寄ります。
メロスは一度だけ、セリヌンティウスを裏切って走るのをやめようとしたこと、
セリヌンティウスは一度だけ、メロスが戻らないのではないかと疑ったことを素直に告白します。
そしてお互いに相手の罪を許し、殴り合いました。
それをみていたディオニス王は ”真実はけっして空虚な妄想ではなかった” と言い、
自分の非を認めたのです。
町の群衆からは大きな歓声が沸き起こりました。
以上が「走れメロス/太宰治」のあらすじです。
「走れメロス」という作品は、ギリシャ神話がもとになっているだけあって、
・ 人を信じることの素晴らしさ
・ 友情の大切さ
・ 過ちを認めることの重要性
など、典型的な道徳物語になっています。
しかしその一方で、メロスは一度だけセリヌンティウスを見殺しにして、
自分はもうつらい状況から逃げ出したいという ”人間らしい” 一面も見せていることから、
純粋で正直に生きることは大切だけれども、同時に清らかに生きるためには痛みと苦しみを伴い、それらに打ち勝つ信念が必要だと説いていると考えられます。
個人的に強く思うのは、なぜセリヌンティウスは最後にメロスに殴られる必要があったのかという点で、
”親友を疑うこと=人間不信=ディオニスの人殺しと変わらない” という側面があったからだと考えられます。
ただ現実的に考えると、太陽が沈むギリギリまで現れなかったメロスを疑うなという方が無理な話ですし、
メロスは妹の結婚式が終わった2日目に、もっと余裕をもって町に帰るべきだったでしょう。
加えて、メロスの気力が尽きてセリヌンティウスを裏切ろうとしたとき、
清水が湧かなかったら一体どうなっていたことか…(笑)
など、突っ込みどころは満載ですが、
それでも文中全体を通して「人を信じること」と「信じるには痛みが伴い、それに打ち勝たなければいけない」ということがうまく表現されていて、
とくに小学生~中学生の頃に一読すべき作品だと思います。
昔は教科書に必ず乗っていましたが、今でも載っているのでしょうか…?
もし載っていなかったとしても、今回のあらすじだけ読めば「走れメロス」は十分なので、
余った時間で「蟹工船/小林多喜二」や「人間失格/太宰治」を読んでみてはいかがでしょう?
以上、『走れメロス/太宰治【あらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説】』でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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