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『金閣寺/三島由紀夫』ー【あらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説】

更新日:

 

今回は『金閣寺/三島由紀夫のあらすじと要約』です。

 

三島由紀夫と聞くと、どうしても ”自衛隊に乗り込み、憲法改正などを訴えて自殺した” というイメージを持たれがちですが、

ノーベル文学賞の候補として挙げられていたほど、文才が高く評価されていた人物です

 

最も有名なのが、今回紹介する「金閣寺」で、実際にあった金閣寺放火事件をもとに小説が描かれています。

今回は『金閣寺/三島由紀夫【あらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説】』として、

短く・わかりやすく” 書いていくので、偉人が残した最高傑作をどうぞお楽しみください!

※ 時間のない方向けに、最初に「まとめ」を載せています

※ 「解説」は一番最後です

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『金閣寺/三島由紀夫』ー【あらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説】

「金閣寺/三島由紀夫ーあらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説」まとめ

・ 私は生まれつき発音が不自由なことで、世間から孤立していた

・ 私は金閣寺に魅了されていた

・ しかし、初めて目にした金閣寺は、ただの黒ずんだ建物(※)でしかなく、私はひどくがっかりした

(※ 当時の金閣寺には金箔などの派手な装飾はなかった

・ ただ、時間がたつにつれ、再び金閣寺への憧れは強まっていった

・ しばらくして、戦争が激しくなっており、金閣寺も焼かれてしまうのではないかと思われた

・ しかし、実際には何もおこらず終戦し、私は「絶望 ※」を覚えた

(※ 戦争によって私は金閣寺と一緒に ”終わる” 可能性があり親近感を抱いたが、終戦し金閣寺のみ ”永遠” の存在に戻ったことへの「絶望」と推測される

・ このとき、私は ”金閣寺と私との関係は断たれた” と感じた

・ その後、友人の死もあって、私はよりいっそう人との関わりを避けるようになっていった

・ そうしているうちに、私が金閣寺の跡継ぎになる夢は途絶えてしまった

・ 次第に私の心は不幸と醜さに支配してされていき、突如として ”1つの考え” がひらめいた

・ 「金閣を焼かねばならぬ

・ ついに私は金閣寺に火を放ち、最初はともに死のうと考えたが、扉が施錠されており、その願いは叶わなかった

・ 私は山の頂から燃えさかる金閣寺を見下ろし、”生きよう” と思った

 

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『金閣寺/三島由紀夫』の簡単・分かりやすい要約

 

『金閣寺/三島由紀夫』の主な登場人物は3人です。

 

1、:主人公。金閣寺に強く憧れ、最後には放火する。

2、柏木(かしわぎ):主人公の友人。主人公と同じく障害者だが、したたかに生きている。

3、鶴川(つるかわ):主人公の友人。健常者で明るい性格の持ち主。

 

ここからは『金閣寺/三島由紀夫の簡単・分かりやすい要約』として、概要だけ説明していきます。

 

 

私は子供のころから金閣寺に魅了されていました。

 

私は生まれつき発音が不自由なことで周りから笑われていたため、引っ込み思案な性格でした。

 

僧侶であった父からは、よく金閣寺の話を聞かされており、

私は金閣寺の美しさを想像しては、美の象徴として強く憧れていました

 

そんなとき、父が私を金閣寺に連れて行ってくれました。

 

しかし、初めて見た金閣寺は、ただの ”古くて黒ずんだ建物” で、私はひどくがっかりしました。

 

ただ、同時に ”金閣寺は本当の美しさを隠しているだけではないか” というようにも考えるようになりました

 

京都から家に帰ると、まもなく父は亡くなりましが、

父の遺書によって、私は金閣寺で僧侶となる修行をすることができました。

 

憧れだった金閣寺のそばにいられることがうれしかった一方で、戦争がいっそう激しくなっていました

 

金閣寺も戦争に巻き込まれ、焼き払われるのではないかと想像しましたが、

実際には何もおこらずに終戦、私は絶望を覚えました。

 

このとき、私は ”金閣寺と私との関係は断たれた” と感じたのです

 

大学では「柏木(かしわぎ)」と「鶴川(つるかわ)」という友人ができました。

 

柏木は、私と同じく障害者の部類で、足が不自由な人間だったものの、

自分の障害を逆手にとって、したたかに生きていました。

 

一方で鶴川は、健常者で明るい性格で、私は彼を純粋な存在のように感じていました。

 

ところが、鶴川はまもなく交通事故で亡くなっってしまいました。

 

鶴川は私を肯定してくれた数少ない存在だったため、私は大変なショックを受け、

ますます人との関わりを避けるようになっていきました。

 

そのせいもあってか、金閣寺の師匠からはついに ”もうお前を跡継ぎにしない” と明言されてしまいました

 

師匠からの言葉は予想していたことでしたが、私は自らの不幸と醜さに心が支配していました。

 

そうして、突如として ”ある考え” がひらめきました。

 

今まで想像しなかったにも関わらず、一度考え出すと、その想いは力を増していきました。

 

「金閣を焼かねばならぬ」

 

私の心は、金閣を焼き滅ぼすことでいっぱいになっていきました。

 

ーそして、ついに私は金閣寺に火を放ちました

 

私は金閣寺の最上階で、金閣寺とともに死のうと考えましたが、

扉にカギがかかっていて中に入ることはできませんでした。

 

「金閣に拒まれている…」

 

私は金閣寺を抜け出し、山の頂へ走りました。

 

そこから金閣寺を見下ろし、私は ”生きよう” と思いました。

 

 

以上が簡単な『金閣寺/三島由紀夫』の要約です。

かなりざっくりと書いてしまってわかりにくいと思うので、以下にちゃんとした『金閣寺/三島由紀夫』のあらすじも載せておきます。

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『金閣寺/三島由紀夫』のあらすじ・解説

 

ここからは「金閣寺/三島由紀夫」のあらすじと解説です。

 

金閣寺に魅了される私

私は子供のころから金閣寺に魅了されていました。

 

私は生まれつき吃音(きつおん:言葉をうまく話せないこと)で、また顔も醜かったため、

周りから笑われ、いつも孤立していました。

 

それゆえに私は引っ込み思案となり、世界から拒まれているという独特の世界観を持つようになっていたのです。

 

僧侶であった父からは、よく金閣寺の話を聞かされていました。

 

私は金閣寺の美しさを想像しては、美の代名詞となるほどもまでに憧れを強めていきました。

 

初めてみた金閣寺は…

ある日、父が私を京都に連れて行ってくれることになりました。

 

父は自分が生きているうちに、私を金閣寺の住職に紹介してくれようとしていたのです。

 

これが私にとって、初めて金閣を目にする機会になりました。

 

私は強く憧れていた金閣寺を早くみようと、寺に走りました。

 

しかし、実際にみた金閣寺はただ ”古く黒ずんだちっぽけな3階建て” にすぎず、

ひどく私はがっかりしました(注:当時の金閣寺は、現在のように金箔で装飾されていませんでした)。

 

ただ、同時に ”金閣寺は本当の美しさを隠しているだけではないか” というようにも考えられました。

 

最初は金閣寺のみすぼらしさに落胆したものの、

日を追うごとに、妄想の中の金閣寺は美しく映えわたり、私はいっそう憧れを強くしました。

 

父の死と修行の道、そして戦争へ…

京都から家に帰ると、まもなく父は亡くなりました。

 

実家の寺を継ぐために、私は修行に出なければなりませんでしたが、

幸いにも、父の遺書によって、私は金閣寺で修行をすることができました。

 

私は金閣寺に語りかけました。

「なぜそれほど美しく、なぜ美しくあらねばならないのか。

そして、私の心(妄想)にある美しさよりも、本物の方がはっきり美しくみせてくれ」

 

その頃、戦争はいっそう激しくなっていました。

 

やがては京都も空襲に巻き込まれ、金閣寺は灰になって消えてしまうでしょう。

 

私は、金閣寺が悲劇的な美しさを増していくように感じました。

 

ところが、京都も金閣寺も焼かれることなく、戦争は終わりました。

 

私は絶望を覚えました。

 

”金閣寺と私との関係は断たれた” と私は感じました。

 

私にはもう ”金閣寺の跡取り” になるしか道は残されていませんでした。

 

対照的な2人の友人と、金閣寺を支配することの失敗

私は金閣寺の跡取りとなるため、大学に進学しました。

 

大学では「柏木(かしわぎ)」と「鶴川(つるかわ)」という2人の友人をもちました。

 

柏木は、私と同じく障害者の部類で、足が不自由な人間でした。

 

しかし、柏木は自分の障害を逆手にとって女をたぶらかし、器用に人生を生き抜いていました。

 

一方で鶴川は、健常者でいたって明るい性格をしており、

純粋な存在のように私は感じていました。

 

ある日、私は鶴川が交通事故で亡くなったという話を聞きました。

 

鶴川は私の発音が不自由なことを認め、優しく接してくれた人間であったため、

私は大変なショックを受け、ますます人とのかかわりを避けるようになっていきました。

 

そうしているうちに、金閣寺の師匠からはついに ”もうお前を跡継ぎにしない” と明言されてしまいました。

 

…金閣を焼かねばならぬ!

師匠からの言葉は、あらかじめ予想していたことではありました。

 

しかし、私のあらゆる不幸と醜さ、暗い思想は私を支配していました。

 

荒れる海を眺めていた私に、突然としてある考えがひらめきました。

 

今までまったく想像しなかったにも関わらず、一度考え出すと、

その想いは力を増し、心を支配していきました。

 

「金閣を焼かねばならぬ」

 

私の心は、金閣を焼き滅ぼすことでいっぱいになっていきました。

 

ーそして、昭和25年7月2日。

 

私はついに火を放ちました。

 

炎は確実に上がっていきました。

 

私は金閣寺の最上階で、金閣寺とともに死のうと考えました。

 

しかし、扉にカギがかかっていて中に入ることができません。

 

私は、金閣寺に拒まれていると感じました。

 

私は火の手の上がる金閣寺を抜け出し、真北に位置する左大文字の山へ走りました。

 

山の頂上から、燃えさかる金閣寺を見下ろし、私は煙草を一服しました。

 

そして ”生きよう” と思いました。

 

 

以上が「金閣寺/三島由紀夫」のあらすじです。

「金閣寺/三島由紀夫」は、1950年(昭和25年)の7月2日に実際にあった「金閣寺放火事件」をもとに書かれた小説です。

 

放火事件の内容自体は「金閣寺/三島由紀夫」とだいたい同じで、

放火犯は「世間を騒がせたかった」と取り調べで語っていますが、本当の内面・深層心理を三島由紀夫が推測し、小説として書き上げたのが「金閣寺/三島由紀夫」というわけですね。

 

今回の「金閣寺」は三島由紀夫の代表作として最も有名ですが、

見事な対比表現と主人公の心理描写・感情推移がわかりやすく描かれている名作です。

 

まず主人公の青年は、吃音症という発音障害を抱えています。

 

加えて、容姿も醜い(主人公視点)ことから、周囲に笑いものにされ、

人と関わることを極端に避けるようになっていきます。

 

そんなときに出会ったのが「金閣寺」という美の象徴です。

 

金閣寺を最初に目にした時、主人公は外見のみすぼらしさから絶望します。

 

しかし時間がたつにつれ、見た目が美しくなくとも、本当は美しさを中に隠しているのではないかと考えるようになります。

⇒ 自己の外見的醜さとの類似性

 

そうして主人公の ”心の中” では、妄想として美しい金閣寺が形成されていくことになりました。

 

ここで、物語の最もキーポイントとなる「戦争」が激しさを増していきます。

 

これまで、

自分   ⇒ 死という ”終わり” がある

金閣寺  ⇒ ”永遠” の美

という、決定的な差がありましたが、戦争によって金閣寺が焼き払われることを考えると、

”ともに終わりあるもの” と主人公には感じられ、

これまでただの ”憧れの対象” であった金閣寺に親近感を覚え、より一層金閣寺に執着するようになっていきます。

 

しかし、戦争は終結し、金閣寺は再び ”永遠” の存在に戻ってしまいました。

 

こうして、

”金閣寺と私との関係は断たれた” と私は感じました

という一文につながっていくのです。

 

”断たれた関係” を修復するには、主人公自身が金閣寺の僧侶となって、

「金閣寺を支配する」

ことしか、主人公に残された道はありませんでした。

 

ところが、これも金閣寺の師匠によって否定され、

主人公は外見の醜さに支配されていった結果、”断たれた関係” にとらわれ、ついに

「金閣を焼かねばならぬ」

と考えるようになります。

 

おそらく、金閣を焼くまでの背景には、友人2人の存在が大きかったことでしょう。

 

「柏木(かしわぎ)」は、主人公と同じように障害者でありながらも、

障害を逆手にとって前向きに、そして器用に生きていました。

 

一方で、主人公は障害がもとで世間から孤立し、不器用に生きてきたのです。

 

つまり、柏木は主人公の憧れであると同時に、自らの醜さを強調させる存在でもあったはずです。

 

また、「鶴川(つるかわ)」は、明るく優しい人間であり、数少ない主人公を肯定してくれた人間でした。

 

そんな鶴川が死んだことによって、主人公は大切な友人だけでなく、自らを認めてくれる ”善意・希望” を同時に失ったと気付いたはずです。

 

そうした友人2人の背景もあり、美の象徴である金閣寺と相容れない自分をどうしても認められず、

突如として「ならば金閣寺を焼き、ともに自分も死のう(=断たれた関係の修復)」という考えが生まれたのではないでしょうか。

 

ただ、皮肉なことに、死に場所と選んでいた最上階には鍵がかかっていたため中に入れず、

金閣寺に「ともにあること」は拒否されたわけです。

 

そして、”永遠” であったはずの金閣寺だけは消え去り、”有限” の自分は生きながらえてやろうと固執したのですね。

 

以上は、あくまで私なりの考察・解説であるので、

一度読者の方も「金閣寺/三島由紀夫」の全文を一読してみてはいかがでしょうか?

 

三島由紀夫はノーベル文学賞候補として挙げられていたように、

見事な論理的な文章構築と心情推移が徹底されています。

 

けっして読みやすい文章とは言えませんが、意味が分からない単語はすっ飛ばしても全然問題ないので、

図書館で借りたり、ブックオフで買ったりして、試しに ”自分ならどういう感想をもつのか” を考えてみてください。

 

読後の感想・考察・ここが違うと思った…などあれば、コメント・批判も大歓迎です!

 

 

以上、『金閣寺/三島由紀夫【あらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説】』でした。

ご朗読ありがとうございました。

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