今回は『伊豆の踊子(おどりこ)/川端康成』のあらすじと要約です。
「川端康成」と聞けば誰しも「伊豆の踊子」と「雪国」を思い出すほどの名作ですね。
今回の伊豆の踊子は川端康成の出世作であり、全編を通して新鮮な感覚が流れ、青春文学の最高傑作といわれています。
そんな名作をあらすじや要約でまとめるのは忍びないのですが、お時間のない方用にできるだけ ”簡単・わかりやすく” まとめたいと思います。
『伊豆の踊子/川端康成ーあらすじ・簡単な要約・解説』として、ぜひ彼の叙情的な作風を楽しんでください。
※ お時間のない方向けに ”最初に「あらすじ・要約のまとめ」を載せている” ので、そちらだけでもお読みください<(_ _)>
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伊豆の踊子/川端康成【あらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説】
「伊豆の踊子/川端康成ーあらすじ・簡単な要約・読書感想文・解説」まとめ
・ 「私」は孤児根性で歪んでいると思い、伊豆へ1人旅に出る
・ 道中で「踊子」を含む旅芸人をみかけ、後を追いかける
・ 旅芸人たちと親しくなり、共に旅をすることになる
・ 私は踊り子に惹かれていき、宴席の踊子を想像しては感情的になる
・ 温泉に入っていると、踊子が全裸で手を振りながらこちらに何か叫んでいた
・ その時初めて、私は踊り子がまだ子供だったと知る
・ 旅芸人一行と旅をするうちに、私の歪んだ心は癒されていく
・ 旅費が底をつき、旅芸人たちに引き留められつつも東京に帰らなければならなくなる
・ 出発の日、踊子は見送りに来れないと思っていたが、船乗り場に着くと踊り子の姿があった
・ 何も言えずにいる踊子に私は胸を打たれる
・ 私は人の親切を自然に受け入れられる美しい気持ちになる
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『伊豆の踊子/川端康成』の簡単・分かりやすい要約
『伊豆の踊子/川端康成』の主な登場人物は6人です。
1、主人公の青年である「私」
2、旅芸人5人
・ 「踊子」の薫
・ 踊子の兄「栄吉」
・ 栄吉の妻「千代子」
・ 千代子の母
・ 雇いの「小百合」
ここからは『伊豆の踊子/川端康成の簡単・分かりやすい要約』として概要だけ説明していきます。
主人公である「私」は、小さい頃に両親を亡くし孤児となり性格がゆがんでいました。
ゆがんだ根性をたたき直すため、私は伊豆へと1人旅に出ます。
私は旅の途中で旅芸人をみかけ、彼らが気になりあとを追っかけていきます。
雨宿りした先で彼らと合流し、旅芸人の男(栄吉)と仲良くなり彼らと一緒に行動をすることになります。
旅芸人の中には、古風な形に髪を結い、卵型の凛々しい顔をした「踊子」もいました。
私は次第に踊子に惹かれていき、旅芸人が宴席で打つ太鼓の音などを聞くと踊子が思い出され、
心が明るくなったり、逆に胸が苦しくなったりします。
私はいつしか踊子のことが気になって仕方ありませんでした。
ある朝、私が旅芸人の男と風呂に入っていると、
向こうから全裸の女が両手を伸ばして何かを叫んでいました。
それは、あの踊子でした。
私は踊り子の風貌から17歳くらいだと考えていましたが、その時初めて踊り子がまだ子供だったと知ったのです。
旅芸人と旅を続けていくうちに、彼らの暖かい雰囲気から私の歪んだ孤児根性は癒されていきます。
しかし、旅費がなくなっていき、ついには翌朝の船で帰らなければならなくなりました。
踊子は私についていきたいと言ってくれましたが、彼らに認めてもらえませんでした。
出立の朝、見送りに来てくれたのは旅芸人の男だけでした。
彼の話では昨晩寝るのが遅かったために女たちは起きられなかったといいます。
しかし船乗場に着くと、昨夜のままの化粧の踊り子がいました。
何も言えずにいる踊子の姿に、私は胸を打たれ感情的になりました。
帰りの船の中、私はどんな人の親切でも自然に受け入れられるような美しい空虚な気持ちになっていました。
以上が簡単な『伊豆の踊子/川端康成』の要約です。
もう少し章をわけて説明した方がわかりやすいと思うので、以下に『伊豆の踊子/川端康成のあらすじ』も載せておきます。
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『伊豆の踊子/川端康成』のあらすじ・解説・読書感想文
ここからは「伊豆の踊子/川端康成のあらすじ・解説・読書感想文」です。
「伊豆の踊子/川端康成のあらすじ1」ー 青年と踊り子の伊豆での出会い
「私」は孤児根性で性格がゆがんでいると思い、20歳で伊豆を1人旅していました。
旅の途中、修繕時と湯ヶ島で「踊子」を含む旅芸人の一行を見て気になり、急いで彼らの後を追うことにしました。
天城峠に近づいたところで、大粒の雨が降りはじめ近くの茶屋に入ったところで予感は的中します。
茶屋の中には道中気になっていた旅芸人の一行がいたのです。
旅芸人の中の踊子が私に座布団を差し出してくれましたが、私は驚きで「ありがとう」という言葉も出ませんでした。
踊り子は古風な形に髪を結い、卵型の凛々しい顔をしていました。
旅芸人の一行には踊子のほかに、40代の女が一人、若い女が2人と25ー6歳の男が一人いました。
茶屋を出てから私は踊子たちと再び一緒になり、連れの男と話をしているうちに次第に彼と親しくなっていきました。
そこで私は思い切って「一緒に旅をしたい」と男に申し出ると、彼は喜んで同意してくれました。
「伊豆の踊子/川端康成のあらすじ2」ー 踊子が気になって仕方ない私
やがて彼らが泊まる宿に着くと、踊子が私のためにお茶を入れてくれました。
踊子は私の前に座ると真っ赤になり手をぶるぶる震わせて、ひどくはにかんだので私は驚きました。
私は旅芸人たちと別の温泉宿に止まりましたが、夜になると外から太鼓の音が聞こえてきました。
みると旅芸人たちが料理屋に呼ばれているのがわかり、
踊子が宴席で太鼓を打っていることを思うと私の胸は明るみました。
逆に太鼓の音が止むとたまらなく寂しい気持ちになりました。
やがてお座敷から追いかけっこをしているような音が聞こえてきて、静まり返りました。
私は、今夜踊子が汚されてしまうのではないかと気になって仕方ありませんでした。
「伊豆の踊子/川端康成のあらすじ3」ー 踊子たちが”孤児根性でゆがんだ私の心”を癒していく
翌朝、旅芸人の男と朝湯に入っていると、向かいの共同風呂から全裸の女が走り出してきました。
両手を伸ばして私たちに何かを叫んでいるようでした。
それは、あの踊子でした。
私はこのときになって初めて踊り子がまだ子供だったと気付きました。
娘盛りのように装わせていたので、17歳くらいだと勝手に思い込んでいたのです。
その後、旅を続けるうちに私の旅芸人に対する好奇心も軽蔑も含まない好意が、彼らの胸にしみこんでいくようでした。
旅芸人の男と少し先を歩いていると女たちが私を「いい人ね」と噂しているのが聞こえ、
素直にありがたく感じるとともに、思わずまぶたの裏がかすかに痛みました。
自分の性根が孤児根性で歪んでいることがきっかけで、その憂鬱から逃れるために伊豆まで旅をしていたからです。
彼らの暖かい雰囲気に私の孤独な心は癒されていきました。
「伊豆の踊子/川端康成のあらすじ4」ー 踊子と青年の別れ
旅を続けていくうちに私の旅費は底をつき、
旅芸人たちに引き留められつつも翌朝には船で帰らなければならなくなりました。
踊子が私に活動写真に連れて行ってほしいとせがみましたが、彼らに認めてはもらえませんでした。
窓から外を眺めていると、遠くから彼らの太鼓の音が聞こえてくるような気がして、
私はわけもなく涙を流していました。
出発の朝、旅芸人の男は私たちを見送りに来てくれましたが、
女たちは昨夜寝たのが遅かったため起きてこられなかったそうです。
しかし船乗場に着くと、踊り子がいました。
昨夜のままの化粧が私を感情的にしました。
何も言えずにいる踊子の姿に私は胸を打たれました。
帰りの船の中、私はどんな人の親切でも自然に受け入れられるような素直な、美しい空虚な気持ちになっていました。
以上、「伊豆の踊子/川端康成のあらすじ・解説・読書感想文」についてまとめました。
あらすじを書いていて、今回の「伊豆の踊子」の感情的・叙情的な作風を表現するのがいかに難しいかを痛感させられました。
原作では、青年と旅芸人が親しくなっていくうちに、彼らの名前や人間性・関係性などが次第に判明していくのですが、
今回は名前も出さずに最後まで「旅芸人の男」などという風情のない言葉でまとめてしまいました…。
また、青年の揺れ動く心情も原作でしか味わえないと思います。
踊子の打つ太鼓の音で心が弾んだと思えば、そのすぐ後には胸が苦しくなって辛くなる…といった感情の推移表現は見事なものです。
ほかにも
・ 私が本を読みだすと、彼女は顔を寄せて、まばたき1つせずに私の額を見つめていた
・ 花のように笑った
など、読み進めるにつれて「踊子」のかわいらしさと幼さが際立っていきます。
川端康成はノーベル文学賞を受賞したほどの作家なので、教養の一環としてぜひ原作を読んでみてください。
まぁ…個人的には「川端康成=エロ作家」というイメージが払拭されないのですが。。。w
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